
N.C.24年 3/20日 AM 11:06
日本国 宮城県仙台市 RPO海軍仙台
基地
丁度、格納庫から出撃しようとしていたRPO常設軍の1式Cが、爆風に巻き込まれて手足やバックパックを破損させながら吹き飛ぶ。 それは、リイチ達のいる第四格納庫も例外ではなく、爆炎が天高く吹き上がり、一瞬で瓦礫の山と化した。遠目で見ると、辛うじて立っ ている赤と緑の2機のF2がその姿を顕わにしている。 |
N.C.24年 3/20日 AM 11:08
日本国 宮城県仙台市 RPO海軍
仙台基地 沖合い約50km
![]() 十分に目標地点-即ち、RPO海軍仙台基地-に近付いたF2戦域投入ポッドは、役目を終えて 手順通りに空中分 解し、中の飛行型F2-ルーシ海軍歩兵隊のTGD-1(テー・ゲー・デー・アヂーン)-を空に放った。8つのポッドは全てがこの日の為に完璧に、かつ十分に 整備されており、正常に機能し た。複雑なシステムなので事故も多く、今回はルーシ軍にとっては幸いといえる。 これからその襲撃を受けるRPO日本防衛軍にとっては不幸以外の何者でもないが。 |
N.C.24年 3/20日 AM 11:09
日本国 宮城県仙台市 RPO海軍
仙台基地 第四格納庫
オーバーアクション気味に肩を撫で下ろすリキ。 「小癪な真似してくれるじゃない・・・!」 オーバーアクション気味に、肩を怒りに震わせるリイチ。 実の所、空襲警報の時点で、リイチとリキの二人は斥力場のぶつけ合いという『じゃれあい』をやめ、二人がかりで格納庫の内 側を強力な斥力場で覆って護りを固めていたのだ。 「うひょー。こりゃぁすげぇや。」 格納庫の天井があった場所-今は吹き飛んで青空が見える-を見上げ、半ば放心気味ながらも、思わず拍手で二人を称えるガイ ホウ、あまりの事態に上を見上げてぽかんと口を開けたまま固まるナグル、ぞろぞろと集まってきた格納庫内の整備班は全員無事だったようだ。 「ふぅ。・・・ん?」 我に返ったナグルが、妙な音を耳にして格納庫入り口のパネル式スライドドアを見遣った。音はその向こう側から聞こえてくる。腹に響く轟音と、風を切る甲高い爆音の重奏。 |
N.C.24年 3/20日 AM 11:09
日本国 宮城県仙台市 RPO海軍仙台基地 中央テスト場付近
多数の、ルーシ軍強襲型F2-TGD-1-が、電気式ターボジェットエンジンの甲高い轟音を轟かせながら、海の向こうから 続々と押し寄せる。 先の巡航ミサイル迎撃の為に、港の岸壁付近でレーダー捜索を行っていた基地防衛部隊の偵察型F2-3式望来-は、敵が持つ サブマシンガンであっという間 に蜂の巣にされて機能を停止した。そのついでのように、隣で対空ミサイルを撃ち尽くした1式短距離地対空ミサイル車も破壊さ れる。 「あぁっ!3式が!」 普段、吾の部隊で偵察機に搭乗しているアマガネは、その光景に同情とも悲鳴ともつかな い声を上げた。 「クソッタレ!俺達の機体はどこで油を売ってやがるんだ!?」 ハスギが、苦虫を噛み潰したような表情で悪態をつく。 そう、今回、我々零群は、日本側の交通事情から各々の乗機(全員がF2だ)とは別車両・別ルートでこの基地に来た。今回は それが仇となったか。機体の到着が予定より大幅に遅れているのだ。 直ぐ側を歩いていた基地防衛隊の1式達が、我々を庇って応戦する。だが多勢に無勢。数の差は覆せんだろう。 ならば、この座り込んでいる怠け者にも仕事をしてもらわねばな。目の前で日陰を作る坐像と化しているXTF-1Jを見上 げて思う。 機体をよじ登り、コックピットに手をかけ、ハッチの開閉レバーを撚ると、見慣れた操縦席(それでも、旧型である吾の機体とは大きく異なる)が現れる。 その狭い空間にすかさず飛び込むと、シートは真新しく座り心地も悪くない。 頚椎をシートの背もたれに押し付けて、初期認証を開始させる。 [知的生命体の侵入を確認。認証を開始。] 機体の中枢-ケイ素生命体『IFクリスタル』のコア-が、コックピット内のセンサー類を通じて吾の侵入を感知し、認証を要求してきた。 「RPO統合軍登録番号、GX01。アルマフト海兵隊司令部隷下『機動装甲特殊戦闘群』指揮官、尾根白 路雄中佐だ。」 [最寄りのデータバンクを検索中…リンクを確立。申告情報を照合中…一致を確認。ナーヴリンク情報をダウンロード中…完 了。] ガクンと、軽く脳髄を揺さぶられる感触がした後、目の前の光景が狭く薄暗いコックピットのそれから機体のカメラを通じたも のに変わる。シートを通じて、吾の脳-いや、五感というべきか-は現 在、この機体に接続されているのだ。…それにしても、体が重いな。高出力・高運動性を誇る最新鋭機とは思えない、鈍重な感触 だ。試しに、素早く立ち上がっ てみる。3秒かかった上、軽く蹌踉(よろ)めいた。これは…。 「やはり、FIREM(ファイレム)はステイパックか。」 機体の整備記録を確認し、理由を理解する。 まず、F2とは巨大な人工の義体だ。人間の脳をIFクリスタル経由で電気的に接続して動かす、一種の巨大なサイボーグと考えて良い。 人体をある程度模したそれは、4つの要素で構成される。即ち、内外の骨格や皮膚(フレーム)、筋肉(FIREM:ファイレ ム)、臓器(モーターやコンピューター、コックピット等)、そして神経系(IFクリスタルが伸ばすナーヴコード)だ。 この内、筋肉に当たるFIREMとは、繊維樹脂筋肉(FIbre REsin Muscle)の略で、ゴム製の袋の中に荷電で凝縮する特殊樹脂を染み込ませた特殊繊維の綱を詰めたものらし いが、詳しくは今はどうでもいい。 これが、格納庫等で待機状態にしておく際に使われる低出力・鈍反応のステイパックになっているようだ。輸送する 予定だったのだから当然だな。 高価で寿命も短い戦闘用のアクティブパックのまま長時間(一日前後)待機させでもしたら、整備長は始末書ものだろう。 だが、今はマニュアルを守った整備長に恨み言を言いたい気分だ。これでは旧世代機レベルの戦闘どころか、歩くだけでも精一杯である。戦うなど夢のまた夢。さて、では吾は このままおとなしく最新鋭の機体を敵に渡してしまうか?F2が相手となれば生身では大して役に立たない部下共々、無様に躯を 晒して? 冗談ではない。尾根白の名にかけて、断固として吾は戦うぞ。 ではこの役立たずをどうするか。捨て置くには勿体無いので、ここは一つ、吾の芸を見せるとしよう。 「機体制御の神経接続を一部停止 運動制御統括を停止・介入開始 電気流量制限を解除 運動制御を搭乗者身体の入力基準に再構築 運動制御情報入力待機を確認…。」 音声入力で次々に命令を下す。コアは忠実にそれを実行していく。 「ウオォォォォォッ」 機体との神経接続を一部停止し、感覚が戻ってきた自分の体に全力を籠める。全身の毛が逆立ち、日々の訓練で鍛え上げた筋肉が膨れ上がる。この情報を操縦の基本として
読み込ませ、リミッターを解除したFIREMを強引に大電流で動かす。
ステイパックが、寿命のきたアクティブパックをリサイクル加工することで作られることを利用した裏技だ。 「機体制御の神経接続を再開。…よし、まぁこんなものか。」 機体との神経接続を繋ぎ直し、二・三歩ほど歩いて成果を確かめる。万全とは言い難いが、贅沢は言ってられん。 野戦整備の一環で出席した、整備長の座学会から得た知識より思いついた今年の新春隠し芸用の一発ネタが、こんな所 で役に立つとは思わなんだ。 さて、何か武器は…と?辺りを見回すが、何もない。…さてどうしたものか。この機体は完全な陸戦機。相手が飛ん でさえいなければ、徒手空拳(尾根白式獣人型CQC)でも戦えたが。取り敢えず、ここは一つ… 「逃げるぞ!」 足元の部下達に向かって外部スピーカーで大声を張り上げ、胴や肩によじ登らせる。基地守備隊には悪いと思う が、この最新鋭機を奪われるわけにはいかんのだ。 [起動できましたか、行ってください!ここは抑えます!] 我等を庇い戦っていた1式Eのパイロットが、敵と応戦しながらも通信を入れてきた。 「すまん、恩に着る!無理はしてくれるなよ!」 [はい!] 彼との短いやり取りを経て、吾は走り出した。 |
N.C.24年 3/20日 AM 11:09
日本国 宮城県仙台市 RPO海軍
仙台基地 第四格納庫
「あんな身の程知らず連中、全員ブチ殺せば済む話よ。」 恐々として尋ねてくる弟を叱咤して、私は"あの子"に念じる。 「そっか、簡単じゃん!"宇宙人"相手にゃ、人間風情がどんだけ戦う訓練してもムダってこと、思い知らせてやらぁっ!」 胸の前で拳と平手をぶつけてパァンッと小気味良い乾いた音を鳴らして、リキは奮い立ったようだ。 「ナグッさん!俺の機体、出せますよねェッ!?」 と、自分の赤い機体を指して整備長に迫っている。 こちとら念を送ってるのに、騒がしいなぁ・・・。 |
N.C.24年 3/20日 AM 11:10
日本国 宮城県仙台市 RPO海軍仙台基地 戦略要塞艦『リュウゾウ・オネシロ』 艦橋
「艦長、外部よりメインシステムへアクセスです。」システム科のオペレーターが、事態の急変の始まりを告げる。 「基地との給電回路が、格納庫へ変更されました。こちらの操作を受け付けません!」 「格納庫より報告です。…TF-1Xが起動!?」 「格納庫エレベーターが勝手に…?駄目です、止められません!」 「TF-1X、各固定具解除されました!エレベーターへ向けて移動中…。」 艦載機を担当する整備科格納庫班の出向オペレーター達が、一斉にパニック状態に陥る。 「一体誰が乗っている?」 概ね、アテはついているのだが、彼らを落ち着かせるためにも確認の指示を出す。 「コックピット内、パイロット認証及びバイタル共にモニターできません。TF-1X、無人にて稼働中です!」 「そんなバカな!F2が無人稼働なんて・・・!」 「本艦メインシステムへのアクセス、情報確認できました!認証者は…リイチ・テラサキ!?」 やはりか…。 「エレベーター上昇。TF-1X『イクス』、右舷第一飛行甲板に出ます!」 |
N.C.24年 3/20日 AM 11:11
日本国 宮城県仙台市 RPO海軍
仙台基地
「応ッ!」 機体の頭部にしがみついたハスギが敵襲を怒鳴るので、外部スピーカーを通じて応じ、反射的に利き手の反対側へと身を翻させ る。 敵の放った火線は吾の左側を走り、弾着の火球と煙を上げる。 高速で移動する飛行型の敵は吾等の頭上を飛び越し、急旋回でもう一度後ろにつこうとしているらしい。 くっ、あのエンジンが充電切れか動作不良を起こして墜落してくれれば、幾らでも殴り倒せるのだが…。 敵機の背中に装備された、2基の電気式ターボファンエンジンを睨め付けながらその動きを視線で追う。すると、その視界に不 遜な様子で格納庫前に立つリイチ氏の姿が写った。彼は、両手を伸ばして胸の前で重ねると、続いて大声で何かを叫ぶ。 [ストーン・バレット!] まっすぐに飛び跳ねつつ、両手を頭上へと掲げる。すると、背後の格納庫の壁面だったであろう瓦礫が8つ、ゆっくりと浮かび 上がり、次の瞬間には恐ろしい速さで敵飛行型F2へと飛んでいった。 予想だにしない攻撃に、敵は人間ほどの大きさもある鉄骨と鉄筋コンクリートの塊をマトモにぶつけられ、ハエ叩きを受けたハエのように空からはたき落とさ れた。八つの内、一つは吾を追っていた一機に、残りは他の敵機に飛んでいったらしい。まばらに轟音が聞こえるということは、 いくつかは命中したようだ。 脅威が過ぎ去った吾等は、安全に第四格納庫前へ到着することが出来た。 幸いなことに、機体にしがみついていた部下達に怪我はなさそうだ。各々飛び降りてリイチ氏の元へ駆け寄る。 だが当のリイチ氏は、こちらを見つめたままでいる。機体を動かしたことで叱責を受けるだろうか。勿論、弁解の用意はできて いるが。 [そんな機体でよく走れましたね。] スピーカーから彼の声だ。だがそれを伝えたのは…通信だと!?見た所、彼は通信機など身につけていない。一体どうなってい る? ["宇宙人"ですから。フフッ。] 悪戯っぽくそう言って、彼は優しく微笑んだ。…彼、でよかった筈だな?むぅ、やはり男には見えん。 [隊長、後ろ!] 何かに気付いてこちらを振り返り、慌てて叫ぶアマガネの声。背後に気配を感じたのと、衝撃が吾を襲ったのはほぼ同時だっ た。 |
N.C.24年 3/20日 AM 11:12
日本国 宮城県仙台市 RPO海軍
仙台基地 第四格納庫前
座り込んで部下を降ろした、尾根白中佐の乗るXTF-1Jの背後で、私の『ストーン・バレット』を食らって倒れていた間抜 けが生意気にも起き上がり、手に持ったAKG-9サブマシンガンを構えて、銃撃しくさった。 突然の事で、私の反応は間に合わず、斥力場も展開できなかった。 背後から銃撃されたXTF-1Jの背面装甲は乱打される。幸いにも前衛型の機体故、装甲はしっかりしているが、それでも何らかの損傷を受けた可能性はある。ああ…移送前に修理しなきゃ…。 クソが。 クソがクソがクソがクソがクソが!! あのクソ野郎が私の芸術品をキズモノにしやがった!許しちゃおかねぇタダじゃおかねぇ、その命を以て償いやがれこのド腐れ野郎!! 怒髪天衝の私は、呼び寄せていた『イクス』に命じた。−否、"咆えた"。 「そいつを思いっきり踏みつけろ!」 -オーダー了解。踏みつけ攻撃を実行します。リパルサーフィールドを右脚部に展開。- |
N.C.24年 3/20日 AM 11:12
日本国 宮城県仙台市 RPO海軍
仙台基地 第四格納庫内
ド派手な音が格納庫の外から聞こえたもんで、機体に乗り込もうとしていた俺は慌てて振り返ろうとして、グラリと後ろにバラ ンスを崩し背中から落ちそうになる。 一応、そこには"マジック足場"があった筈だから、手すりにでもぶつけない限りは大丈夫・・・のハズ。でもコワイから斥力場 使っておこうかな、と考えた所で、ボフンッと受け止められて、ガクンッと落下が止まった 「おー?リキちゃん、あぶねーぞ?」 頭上から声が降ってきて、見上げるとニカッと笑うガイホウさん。ヤベ、助けてもらっちった。 「すんません。スゲー音でびっくりして。助けていただいて、ありがとうございます。」 ゆっくり抱き起こされて、ちゃんと立ってから振り返ってお礼。顔を上げると、ガイホウさんの金色の大きい瞳と眼が合う。 うーん、こうしてみると超かっこいいなこの人。ガチホモの兄ちゃんズじゃねーけど、俺にも魅力とかわかる気がする。 なんて、バカなこと考えてる場合じゃねぇや。さっさと出撃しねーと。 「あ、ガイホウさん離陸する時危ないんで、脇の事務室の方に行ってもらっていいですか?ナグっさんにも伝えてください。」 見惚れてた事を誤魔化す様にお願いをすると、ガイホウさんは頷いてクルリと背を向け、下にいるナグっさんの方を見下ろす。その 時、足場の手摺を両腕で掴んで上 体を下ろす、エートあれだ、腕立て伏せ上半身版みたいな感じの姿勢になったんだけど、うわ、腕の筋肉太・・・。いいなぁ、 かっけぇなぁ。 「応。ナグっさーん、リキちゃん飛ぶんで、全員避難オナシャース!」 マジック足場を降ろす操作をしたと思ったら、待ちきれないと言わんばかりに飛び降りるガイホウさん。結構な高さがあるんだ けど、特に何事もなく事務所の方に駆けていく。やっぱ獣人の身体能力ってスゲーなぁ・・・。 辺りを見渡す。・・・よし、格納庫内の人はみんな避難したな。 コックピットに入って、ハッチを閉じる。機体との同調を済ませて、武器-サブマシンガン二丁-を受け取る。二・三歩前に出 て頭上を見上げれば、さっき敵のミサイルが明けた大穴。よっしゃ、いっちょココから派手に登場してやるか。 エンジン始動、インテーク角調整、コンプレッサー正常、フィールドジェネレーター空間圧縮開始、圧縮熱発生確認。 「TF-1FLS、『ロート・リッター』、いきまーすッ!」 抜けるような青空に向けて、俺の機体は舞い上がった。 |
N.C.24年 3/20日 AM 11:15
日本国 宮城県仙台市 RPO海軍
仙台基地 第四格納庫前
出し抜けに格納庫から空へと駆け上がった赤いTF-1F-今吾が乗っている試作機XTF-1Jの兄弟機だ-を目で追って、 続いて襲い来るジェットエンジ ンによる猛烈な吹き降ろしの強風を、同調した機体を通じて感じ、バランスを崩さぬように気を配る。眼下の部下達は、やはり皆 一様に姿勢を低くして風圧に耐 えている。 ちらりと横目で、先ほど隣に鎮座したTF-1X-どうやらリイチ氏の機体らしい-を見やると、既に彼はコックピットに納ま り、起動を済ませているようだった。格納庫に残っていたサブマシンガンを受け取って、一先ず自衛武装完了…と言ったところか。尤も、先のアレを鑑みるに、彼にそんなものが必要なのかは極めて怪しいが。 吾も、格納庫で同じものを受け取って、機体が万全ではないにせよ戦闘準備を済 ませていた。敵は第四格納庫制 圧を諦め、要塞艦『リュウゾウ・オネシロ』の接収に動いているらしい。基地守備隊が押し負ける前 に合流せねば。 [『メガセリオン』より『ギガント』、そちらの用意は御済ですか?] 「こちら『ギガント』、用意完了だ。いつでもいけるぞ。」 『ギガント』は吾-尾根白 ジオ-のコールサインで、『メガセリオン』は彼-寺崎 リイチ-のコールサインだ。傍受が懸念 される通信においては、このようにあらかじめ取り決めたコールサイン或いはコードネームで呼び合う。 [承知しました。ではこれより、基地の防衛行動を行います。非常事態ですので、機体の指揮通信能力を鑑みて戦術指揮はこちらで執ります。尤も、基本的にはお任せしますから、自由に戦ってください。] 一応、階級では吾の方が上なのだが、乗っている機体の部隊指揮性能はリイチ氏の方が高いので、今回は指揮を任せることにし た。これは、今後-所謂"先"-の事も考えた采配だ。彼の能力を知っておかねば。 「『ギガント』了解。では好きに暴れさせてもらおう。」 "暴れる"とは言ったものの、この機体では高が知れるな。ここは大人しく、皆のフォローに回ろう。 |
N.C.24年 3/20日 AM 11:17
日本国 宮城県仙台市 RPO海軍
仙台基地
エンジン快調!機体性能は敵より断然こっちが上!おまけにパイロットの俺は人類史上稀に見る超能力-斥力場-使いの"宇宙人"とくりゃぁ、向かうところ敵なしって感じ? あ、でも兄ちゃんズの相手だけは勘弁な。まったく歯ァ立たねぇから。 主翼の空力に従って飛ぶ相手を、斥力場で自由自在、変則的に飛ぶ俺の機体は、一方的に叩き落していく。 [基地防衛中の全機へ。これより当機が防衛と反撃の指揮を執る。『メガセリオン』に戦術データリンクを接続せよ。] お、イチ兄ぃの声だ。えーと、戦術データリンクを『メガセリオン』に合わせて・・・と。これでよーし。んー、俺はこのま ま、上空の敵を叩き落してれば良いのか。オーケーオーケー。さっすがイチ兄ぃ、俺に難しい事言ったりしない! |
N.C.24年 3/20日 AM 11:18
日本国 宮城県仙台市 RPO海軍
仙台基地
続々と増えていくデータリンク済みの友軍機一覧を見ながら、私は各機から送ら れて統合されたデータから算出される敵の配置図をチェックする。 幸いな事に、上空を飛んでいた敵の大部分は既にリキが叩き落してくれたらしい。 ・・・そろそろかな?おそらく、勝ちの目がなくなったと見て、敵も撤退する頃合だろう。 ん?敵が一機追加?いや違う、こいつは確か、さっき『イクス』に踏みつけさせた奴・・・再起動した? 思うが早いか、体が弾かれる様に反応した。視界の端で、隣の機体も動くのを見た気がする。 「そこぉ!」 [そこだ!] |
| 前半 |
次回予告 |